驚きの高値。希少動物たちの価格

動物の値段ってどうやって決まるんでしょうね。

食用動物であれば食べる人、愛玩用(ペット)の動物であれば飼育人がそれぞれ得られる効用(経済学で、財貨が消費者の欲望を満たし得る能力の度合)に応じて値段が決まりますね。

美味しいお肉であれば値段は高騰し、かわいいペットであれば値段は高くなる傾向にあります(例外もありますが)。 

いわゆる需要と供給とうい市場原理が働いて値段が決まっているのは明白ですね。では動物園の動物たちも同じように値段がつけられているのでしょうか?

 

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シャチの売買価格は4.8億円

1月に騒がれたニュースですが、名古屋の水族館が約5億円で♂のシャチを鴨川シーワールドから購入するそうです。

名古屋港水族館名古屋市港区)は、鴨川シーワールド(千葉県)から借りて飼育・展示しているシャチ「アース」(オス、8歳)を来年度、約4億8000万円で購入する方針を決めた。 水族館設置者の名古屋港管理組合が、3月定例議会に予算案を提出する。

 

出典: 読売新聞 ニュース

 

Wikipediaによると、 オスの平均寿命は30歳だそうですから、期待余命が22年で4.8億円ですから、つまり1年あたり約2,200万円になります。じつは現在の別のシャチをレンタルしていますが、そちらの料金が4,900万円/年であることを考えると割安ですね。ただ気になるのはどのようにしてこの値段が決まっているのかです。

 

名古屋港水族館の収支はどうなってんの?

平成27年度の事業報告書を読み込んでみると、水族館の売上は約230億円~250億円で推移してます。訪問者は約200万人なので一人あたりの売上は約1200円ぐらいです。水族館の人気が上がれば売上も倍増するでしょうから、シャチ購入はそのための布石なのでしょうね。

シャチが1匹増えることで、年間の売上が4000万円(設備費、エサ代などの管理コストを入れてこのぐらいとと仮定)ぐらい増えれば損益分岐点を超えるのでしょうか。とすると、訪問者が年間で約3.3万人、一日あたり100人ぐらい増えれば良い計算になります。

この辺の試算をしてシャチの値段の妥当性を検証したのでしょうか。その点は疑問です。

  

平成27年度の事業報告書はこちらhttp://pier.nagoyaaqua.jp/governing_body/doc/2014110513335461_13.pdf

 

 

値段なんてあってないような世界

動物の値段に関して解説している良書を紹介いたします。

 

 

ライオン(赤ちゃん)45万円、ラッコ250万円、トラ500万円、ゾウ3000万円にシャチは1億円!!…でも、エリマキトカゲはわずか5万円。動物園・水族館のどんな動物にも値段がある!人気者たちの意外なお値段を決めるポイントはいったい何か?キリンやカバなどは、どのように輸送しているのか?すべてが驚きの動物商の世界。その舞台裏を明かした画期的な1冊!テリー伊藤氏との文庫版特別対談も収録。

 

私がこの本を読んで思ったのは、モノの値段って様々な理由で決まるんだなぁ、とうことです。流通する個体数、捕獲の難易度、輸送コスト、寿命、対象動物の人気度、など、動物園に売買される動物にも市場原理が働いていたのです。

この本にはシャチの値段は1億円と記載されていました。シャチは捕獲が難しく、つまり捕獲する業者(?)の危険手当を含む値段が1億円なのですね。

 

数年前には1億円で取引されていたシャチが今年に入って5億円になったということです。流通量が限定的な財の値段は取引毎によって大きくブレるということですね。